美味しいと評判のケーキやさんを、最近 教えてもらった。
店主は、神戸生まれの信楽育ち、その後 アメリカにいらしたそうだ。
町の中心とは逆方向へ、わざわざ買いに来る客は そういないと思う
のだが、会社帰りに時々寄ると、殆ど残っていない。
「近くの宮町遺跡を見に来た方が、お帰りの際に寄ってくださるから
ですよ。」とおっしゃるのは、謙遜かなあ。
宮町遺跡というのは、聖武天皇が、最初は離宮として天平14年(742)
に作り初めたとされる 紫香楽宮(しがらきみや)の遺跡だ。
天平12年 藤原広嗣の反乱をきっかけに、平城京を抜け出し戻るまでの
4年半の間に、恭仁京、難波京、紫香楽宮と作る毎に、皇都はココと公示
するのだが、その移り気の早さと行動は、文献を読むほどに奇々怪々だ。
最近の発掘で、100mを超す建物跡だけでなく、木製品、土器類、木屑も
含めた木簡約4000個、ワインを作ったとされるブドウの種子が 大量に
見つかったにも関わらず、瓦は、一片さえ出無かった。
このことから『天平時代の瓦が信楽焼の起源』説は、崩れた。
紫香楽宮は、檜皮葺きであったとの見解だ。私は、こんな粗い粒子の土
が、瓦に成り得るのかと思っていただけに、すっきりした思いだ。
史跡よりケーキだな。前回 予約済みで買えなかった白色ピラミッド型
のケーキが食べたいのだ。仕方ない、彼の作る日に合わせて来よう。
黒いピラミッドもあるって?チョコレート?
「じゃあ、白も黒も 取り置いて。」
「この形は、両方 同じ日に焼くことは滅多にありません。」
繁盛しているのは、単に クチコミだけではないようだ。
2003.0428