「小林秀雄 美を求める心展」が開催されている
MIHO MUSEUMへ行った。
建物は、ルーブル美術館のガラスピラミッドで知られるI.M.ペイ氏
の設計で、山を崩して建て、その80%をまた土に埋めたという代物だ。
一緒に行こうと専務を誘った時、
「小林秀雄といえば、澤 清嗣さん(知り合いの陶芸家)が若い頃、
新宿の文化人の集まる飲み屋で出会い、直々に本をもらって愛読書
にしていたヒトだ。」と言うではないか。
「骨董にも詳しかったらしいよ。一体 ナンの人?」と続ける彼に、
行けばわかると答える。
ルオーなどの近代絵画・日本の絵画・骨董・晩年の書斎の4部構成。
『絵は、眼で見て楽しむものだ。音楽は、耳で聴いて感動するものだ。
頭で 解るとか解らないとか言うべき筋のものではありますまい。』
「モーツアルト」の本は難しくて読めなかったが、「生誕百年記念展
小林秀雄 美を求める心」日本経済新聞社は、わかりやすい本だ。
私は、梅原龍三郎の「北京秋天」と、李朝初期の耳付き粉引茶碗が
印象に残った。これだけでも満足した。
それと、初めて見た富岡鉄斎の扇面の字は、とてもいい字だと思う。
『美は人を沈黙させます。(略)
こういう沈黙の力に堪える経験を よく味わう事に他なりません』
小林秀雄のモノクロのポートレートを見て、専務はつぶやいた。
「年をとって、あんな風にスーツを着こなすには、オレは あと5キロ
痩せなくてはならない。」 そういう問題ではないだろう。
2003.0818