上海の人口1600万人に、海外からの赴任者何十万人。
タクシーに乗ったら目を瞑れ。と言われたように、自転車は多いし、
車の速度は速く 歩行者は信号を見ない。滞在中、3度事故を見た。
オリンピックスタジアムの建設より、交通道徳の浸透が難題らしい。
軽い気持ちで変身する店に入る。私はチャイナドレス、並川先生は
楊貴妃の冠を手にされた。メイクは時間を費やして、睫毛がヒジキ
の ひねたキューピーになる。撮影もプロだ。私は、妖艶にこそな
れなかったが姑娘に。先生は、西太后に扮した黛じゅんになられた。
通訳で同行してくれた盛さんは、美人で聡明でお酒が強い。ただ、
日本語は直球だった。腰の大きいのが悩みと言う彼女に、私もよと
答えたら「恵子サンノ腰ハオオキクナイ。オナカガ デテイマス。」
上海は、小籠包の発祥の地だ。豫園の「緑波廊」を皮切りに、あち
こちで食す。上海蟹は、甘く舌に付くような濃さだ。私は、豆腐と
蟹味噌の炒め煮風と、日本に無い野菜「芦蒿」が一番気に入った。
アールヌーボー・デコの建物が建ち並ぶ 夜景の美しい外灘。和平
飯店のジャズクラブから出ると、深夜なのに 赤ちゃんを抱いた
物乞いが居た。盛さんは、他人の子を借りているのだと言った。
フォーシーズンズホテルの筋向いには、もも色のクリームに赤と緑
色のゼリーを飾ったケーキ店。小学校のノート0.4元(1円=14元)を
置いているローソン。路地まで溢れる果物店などが軒を連ねている。
土門拳の写真集に出てくるような人達が行き交う、マーケット。
新天地のブティックはハイセンスだ。雑伎団を見て、心悲しくなる
のは私だけか。何もかもが混沌とした、初めての上海だった。
2003.1108