ニューヨークから、4年振りに帰国したKさんと会うため、Yさん
と共に熱海へ向かった。快晴の空に、白く雄大な富士山が美しい。
Kさんは、N.Yで会った3年前より、少し太っていらした。
けれど意外にも、太ってからモテたのよとおっしゃる。 ある日
歩いている後ろから 追い越した男性が「あなたのような美しい方
のために、ドアを開けられる僕は幸せだ。」と言ったそうだ。
夕食にお刺身の盛り合わせが出た時と、露天風呂の真上に、雲が流
れて丸い月が姿を現したホンの一時を除いて、私たちは話し続けた。
Kさんは、「今度のアメリカの戦争には失望した。自由の国という
が メディアは偏っているし、戦争について考えようともしない人
の多いことに驚く。」とおっしゃった。
世界中から 医者と大学教授が500人集まった ある学会の事務局を
担当したYさんは、相当 神経を使ったらしい。「彼らは全員、
”自分が言えばなんとかなる”と思っている人種だ。」と断言した。
熱海は、見ただけで歩く気をなくす程、急な勾配の坂ばかりだ。
一輪、二輪と花の咲いた枝がある梅園と、MOA美術館へ行く。
北宋時代の掻き落とし手法の壷と黒釉碗・景徳鎮窯の金襴手の意匠
と色・清時代の緑釉(アップルグリーン)の透明感に 心惹かれた。
昼食には、タクシーの運転手さんお勧めの寿司店で、次々と海の幸
を握ってもらい あら汁を飲む。昨日は、フランス料理店のケーキ
を食べに行ったが、今日は 温泉まんじゅうなどの和菓子を頬ばる。
「ダイエットしたんじゃなかった?」と聞かれたけど、
「いいの、ニューヨーカーにモテることにしたから。」と答えた。
2003.1208