2,3年前から、家具店さんの引き合いが増えてきたのをきっかけに、
初めて東京国際家具見本市に出展した。見劣りせぬよう、什器は
いつもの手作りと違い設計図を引いて専門家に作ってもらった。
信楽焼のPRのため、陶器卸商業組合・工業組合・振興協議会が合
同で広いスペースの展示をしたので、プラスガーデンは焼き物とし
ては目立たなくて残念だった。
だが、従来の信楽焼とはデザインが一線を画しているのでイタリア
のソファなどにも合う。家具に比べると商品単価が安すぎるので、
高価格の商品群も売れる、などという利点はある。
三日目で専務と交代した帰路、来春の「家庭画報ショッピング」の
打ち合わせに世界文化社へ行く。地下鉄で市ヶ谷に着いて少し感激
する。乗り換えが苦手で、今まで大抵タクシーを使っていたからだ。
次に品川へ向かう。メトロマップを充分見たので、安心して乗って
いた。しかし「次は亀戸」と言う車内放送を聞き、行く気が失せる。
深雪スタジオの早川さんは、取引に当たってわざわざ信楽に来て
くださるような方だ。作品展には、何としても行かねばなるまい。
終了近くに着いた高輪プリンスホテル貴賓館の廊下には、少女の頃
からケーキのデコレーションだけを、ずーっと食べ続けて年を重ね
たような女性で溢れていた。煌びやかな活気に満ちている。その中
の黒一点、実直な早川さんに出会って招待状のお礼を述べる。
一日の予定を終えて新幹線に乗った。隣席の50才代と思しき女性が、
横浜から名古屋まで一度も顔を上げることなく、”ヨン様”の本を
読んでいらした。私も、少しははまってみたかったと思う。
2004.1128