県立『陶芸の森』の杉山さんのご紹介で、来日しているヘルシンキ
芸術デザイン大学講師兼プロダクトデザイナーのナタリと会う。

彼女の作品は主に鋳込みの薄い磁器で、木製の入れ物にガラスの器
と組み合わせで商品化されている。「信楽の土でも試みて」という
話を終えて、皆で『北欧のスタイリッシュ・デザイン』を見る。

フィンランドのアラビア窯の変遷を、一挙に見ることが出来た。

私は、1932年から1980年代の”アート・デパートメント”が設立さ
れ、カイ・フランクが主任デザイナーになってからのものが一番好
みだ。デザイン性とクオリティが高い。

特にアウネ・シーメスの”白と青の小さなカップ”は素晴らしい!
これは、ありそうでどこにも無い。しかも奇を衒ってはいない。

入れ子式は日本古来のものでなかった。ボウルなどの食器が入れ子
で収納できるのは、見た目も美しく今も斬新に感じる。

果実を立体的に描いた”鳥とフルーツの皿”が欲しいなぁと言うと、
「ヘルシンキの骨董やには、今でも当時のものが残っているよ。」
と杉山さんが答えた。間髪入れず、並川先生が「行くわ!」とおっ
しゃった。フットワークの軽い人は人生を謳歌していると思う。

階下のラウンジで、ムーミンを模ったジンジャー入りのクッキーと
コーヒーをいただく。白夜は一日が長くって素敵、オーロラも見え
る。などの話を聞くに連れ、フィンランドが近くに感じられる。

帰り際、ナタリが私にひとつのボウルをくれた。一目見て気に入っ
ていたものだ。外がマットの白、中がボルドー色の配色は大人っぽ
い可愛さがあり、とても洒落ている。

2005.0508