新幹線が品川駅に停まるようになってから、利用するたびに構内は
様変わりしている。最初はお弁当と”東京バナナ”等の売店だけだ
ったが、今や花屋・文房具まで揃っている小さなデパートが出来た。

発車時刻まであと8分、私は甘い何某かのお菓子が欲しかった。
増えた店先を端からザッと眺め、包装に手間のかからないものをと
ようやく決めた一軒は、コトもあろうか京都の某老舗だった。

何でこんな処に?他を当たる時間は無い。臍を噛む思いだ。

「関西へ帰るのに、おみやげがこれやなんて・・」ぼやきつつ代金
を支払う。笑うのを抑えた女性店員さんは、京都の名所を描いた紙
袋を手渡して標準語のイントネーションでお礼を言った。

いつぞや友だちと熱海へ旅行した時、駅に彼女の好きな”金沢銘菓”
の売店があった。「どうしてここに!?」売り場の人は苦笑いをし
た。そして彼女は思案のあげく「会社へ持って行ったら、皆は呆れ
るだろうな」と言いながら、この風流な和菓子を購入した。

通販で取り寄せるのとはワケが違う。
こっちは、はるばる乗り物と時間をかけて移動してるんだから。

話を聞いていた70才の叔母は「30年前、アメリカのディズニーラン
ドで買ったものは中国製。この前、海外であわてて買ったら日本製。
”お土産”は探さないとだめなのよ。」と言った。


名古屋人を象徴する二村さんは、帰省する都度エビフライを食べる。
栄町の定食屋のそれは、中身の詰まった全長30cmの特大が2匹も付
いていると自慢していたが、誰も信じないので写真を撮ってきた。

みやげ話だけで、お腹がいっぱいになることもある。

2006.0308