バリに行く長男を駅まで送った。大きめのトランクを重そうに下ろす。
南の島なのに何を持ってくの?「Tシャツ14枚とタンクトップ5枚と長
袖シャツ3枚とパンツが・・・あっ、今、旅慣れんヤツって顔した!」
それは察せるのに、荷物が多いとは気付かなかった?だいたい7日間の
旅行にTシャツの数が倍ってのが不思議。「汗をかいたら午前と午後に
着替えるだろ?・・洗濯していいの!?」ハイハイ、いってらっしゃい。
親戚からハワイに行かないかと誘われた母は「ハワイはもっと年をとっ
てからにする」と答えたらしい。「いったい自分を幾つだと思っている
のかしら」と65歳の従姉妹は苦笑した。
パスポートの期限が切れていたので申請に行くと言う。私のは秋まであ
るが、早めに書き換えることにして2人で出掛けた。
申請所のピアザ淡海は春休みで混んでいる。高校生が制服姿で20人ほど
いたのは修学旅行で必要なのだ。10年前の県庁の時とは雰囲気がずいぶ
んと違っていて、母を驚かせた。ここでは年齢を意識したようだ。
「同僚の実家の造り酒屋には美味い酒がある」と友人のシゲル君が持っ
て来てくれた。魯山人の字というけれど、何だか温和しい感じ。
『七本槍』を飲むと賤ヶ岳が目に浮かんだ。雪降る紺碧の琵琶湖。鴨鍋
と地酒。寒空に渡り鳥。幾人かの文豪が書いた、原風景として心の奥深
くにある冬の湖北。それに招福楼。
人からみれば意外だろうが、私の旅心はこんな近場にあるのだ。今年も
行けずに、また桜の花のほころぶ時季になってしまった。
2007.0328