専務に頼まれて神戸へ行く。ついでに京都に住むアサコを誘った。
お礼に夕飯をご馳走すると云うので、瀟洒なレストランを想像して
いた。アサコは趣向まで父親似だ。多数決で、2人の足は韓国料理
店に向いた。センマイを食べる娘を、本当に私が産んだっけ・・・。
82歳の義母は伊勢市の親戚を訪ねた。遊びに来た姪を喜んだ叔父が、
帰りに持たせた”へんば餅”をお裾分けしてもらう。短歌の先生な
ので日々添削しているから惚けないそうだ。それにしても、102歳!
アサコの習う茶道教室のお茶会が、御所の中の”捨翠亭”であった。
髪を結いピンクの色無地を着た娘はホルモン好きには見えず、一安
心。先生のお人柄だ、和やかで楽しい席だった。ふくらんだ袂をイ
メージした主菓子が、はんなりとした色合いで且つ美味しかった。
市内の車の数は少ないが四条通を歩くタダならぬ人並みを横目に、
昨日からプラスガーデン展『春から夏への提案』を開催していただ
いている山総美術ギャラリー”シュマン”へ向かう。
すぐに眼がいったのは、5,6年振りに見たティレックさんの油絵だ
った。強い存在感。同じチェコのシペックさんの天衣無縫なガラス
作品と調和した空間は、見飽きることがないほどだった。
皐やツツジの花が咲き出したのは、京都から山科、大津辺りまで。
夜8時頃、神社の参道から中学校へ続く道を歩いて、つい先日前の
景色と一変した事に気づいた。どの田んぼにも水が張ったので、均
等に並ぶ外灯と星や月明かりが水面に映り、とても明るいのだ。
さむくもなくあたたかくもない、鳴き出したばかりの蛙の声が低く
聞こえるだけの静かな夜だ。
2007.0429