新聞で『!』と思う記事を切り抜くのは義父と私だが、義父は周り
に「読め」と渡し、私は黙って自分のファイルに綴じる点が違う。


日本経済新聞は、主に40面の文化面を読む。あとは土曜日の特集の
NIKKEIプラス1だ。読売新聞は、長谷川櫂が古今東西の歌や
俳句を解説する、写真入りの”四季”が好きだ。

長田弘が選ぶ”こどもの詩”はドキンとする。「ママ うめぼした
べると 目がまぶしくなっちゃう ほっぺたもいたくなっちゃう」。

1面下の記者による”編集手帳”などは、起承転結の起の引用文に
引き込まれ、浅学の私はいつも感心する。

家には絵本『100万回生きたねこ』があるだけの佐野洋子の、所謂
フツーの文章ではないエッセイを読んでファンになった。

最近驚いた人は梅佳代だ。こんな純朴で新鮮な文章を書く人の撮る
写真はどんなのだろう。切り取るのを忘れて至極残念である。
    

毎日新聞は「毎日かあさん」が好きだ。特に今年の1,2月、鴨志田
穣さんの写真と西原恵理子さんのマンガと記事の構成によるカンボ
ジア家族旅行記の3週連続の特集は素晴らしかった。

中でも、現地の子供達に囲まれ夕日に照らされた西原さんの笑顔が
とても印象深かった。まるで慈愛に満ちた仏様のような顔。写真を
撮った彼は、とてもこの人を愛していると直感した。ちょっと泣く。

しばらくの間、冷蔵庫のドアに貼ったのち棄てた。それから間もな
く、鴨志田さんの方が仏様になったことをニュースで知る。あの時
から彼は余命短く、彼女はそれを知り復縁した事も新聞で知った。


残したハウツー記事より、記憶に鮮烈な方が多いのは不思議だ。

2007.1126