『鶴喜そば』で昼食を食べ終わった頃、JR比叡山坂本駅に着いたと
長女から電話が入った。車で1km走り、拾って帰路に向かう。
しばらくして、長女が「下あごをケズりたい」と言い出した。前に
会った時は「ほお骨をケズりたい」と言っていた。
「ヒマだから眼に付くのだ」と言下に母。「お化粧が上手で気にな
らない」という私の意見は、ナンのフォローにもならないそうだ。
私も経験あるけれど、その顔が好みだという男性が現れたら一瞬で
コンプレックスは消えるものだ。長女にも現れるといいのにと願う。
夏休み前は恒例の先生との三者懇談。3人目の子供で高校3年生と
もなれば、成績表を見る感覚がマヒしている。特に次男は、悪くは
ないが良くもないため、何を話していいのか分からない。
「勉強する意欲はある!」「これからだろ!?」と、ひとり前向き
な発言をする次男に、先生と私は笑ってうなずくばかりだ。
しかしながら”悩み”とか”考える”は、彼の日常にあるのだろう
か。遅い昼食を終え塾へ行く次男と別れて、お茶の稽古へ向かった。
昼の教室の方とは行事の時に顔を合わす程度なので、近況報告を兼
ねて2言3言交わす。今日は祇園祭ですね。あの暑さを想像すると
黄緑色の空豆の香合が、あたりの暑気を払う涼しげな色に見えた。
一心に炭手前の羽根を扱う年配の女性に、この人もあらゆる出来事
を胸にしまって淡々と年月を重ねているのだろうかと、ふと思った。
煩わしい事があっても、熱中するものに身を置くひとときがある事
によって、日常に戻った時には違った見方が出来るのかもしれない。
習い事って、そんな効用もあると思う。
2008.0717