「大丈夫です、私はひとりで1本飲めるんですから!」
私が「辛口の白をグラスワインで」と頼むと、ヒロミさんはニコニ
コと遮り、こう言ってシャブリをボトルでオーダーした。
板前さんも思わず笑う、心強い言葉。
某会社のジェネラルマネージャーのヒロミさんは、いつも明るくて
元気な妙齢の独身美人。10分も一緒にいれば元気が感染する。
彼女の陣地の西麻布、”六根”に連れてきてもらった。関東風の黒
い出汁はダメだろうとの彼女の配慮で、関西風のおでん屋さん。
「年齢・既婚未婚を問わず、女性の方がイキイキしている」という
のが共通した意見だ。一人で行動することを厭わない人が多い。
例えば私は10年前、あこがれの”一人でお酒”をやってみた。でも
お店に行く勇気はなくてホテルの食堂止まり。それがどうでしょ。
昨日は隣の席で、一人ワインを飲みつつパスタを口にする女性がい
たし、今日は一人でビールを飲む女性を見た。そしてヒロミさんは、
手酌でワインを注いでいる。女と酒は、とうに確立されているのだ。
「いい人がいたら紹介してください」の話題じゃなく、『子供だけ
産みたい』宣言をし出した。しかもフランス人との子供を。
何でも美男美女の出来る確立が高いのは、女性が日本人で相手が外
人の組み合わせだと言う。
ふ〜ん、この発想も新人種だな。将来「お父さんに似てるから整形
したい」などという娘の相談に乗ったりしなくていいわけだ。
「最後に何します?」私は”果物たっぷり杏仁豆腐”を注文した。
ヒロミさんは「赤ワインをグラスで!」・・・にっこり飲み干した。
2008.1008