長浜市の”慶雲閣”で毎年催される盆梅展を見に行くことになった。
会場は、様々な古木の梅から発せられた馥郁とした香りが漂ってい
た。職業柄、信楽焼をはじめとする鉢にまず目がいく。
盆栽の鉢は足付きが必須と思っていたのに、イタリアのデローマ社
のボール型テラコッタが使われているのを発見して衝撃を受けた。
このような常識を覆す発想こそ、うちが提案すべきなのに・・・。
お昼の”鴨南蛮うどん”はすこぶる美味しかった。鴨肉の片面だけ
を炙っているため、脂が程よく落ちて香ばしい。
次に、予てより行きたかった、日本で初めて反射望遠鏡を作った国
友一貫斎を紹介する長浜城歴史博物館へ行く。
江戸滞在中に見たオランダから輸入された反射望遠鏡より数段威力
の良いものを、55歳の1832年から作り初め1年後に完成させている。
墨描きの『月の観測図』。アペニン山脈について「殊の外 高き山
見え申し候」と記入している。江戸時代の人が、遙か宇宙に浮かぶ
月の凹凸の感覚まで把握していたのだ。
他に、木・金・土星の観測図、太陽の黒点の観測図もあった。また
気砲や万年筆など多岐に発案した事により東洋のエジソンといわれ
ているが、頭の良さもさることながら、クリエイティブで伝統ある
”国友鉄砲鍛冶”の家に生まれたバックボーンが大きいと思う。
24日は、2年前に発見されたルーリン彗星が地球に最接近するらしい。
ぼうっとした青みがかった光りが、乙女座から獅子座に向かって移
動していくそうだ。冴え返る日なら肉眼でも見えるだろうか。
一貫斎のみならず、夜空は昔も今も人を惹き付けて止まない。
2009.0222