11月に入り、信楽は朝に濃霧が発生するせいか、一気に紅葉が色づ
いてきた。国立療養所近くのプラタナスの葉が朝陽を受けて、燃え
るようなオレンジ色の木になる。

霧で見にくいから車と衝突したのか、通勤途中に鹿の死骸を二度も
見た。だから、もらった鹿肉も食べる気にならないのだ。

そう思っていたのに、伊賀上野のイタリアンレストラン”チッタ”
で、エゾ鹿肉のなんとかソースかけを頼んだ人のお皿から一口いた
だく。ミディアムの鹿肉はやわらかでとても美味しかった。


近江八幡市を歩くと、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ建築の建物
に多く出会す。建築家とは知っていたけど、メンタームの会社の創
始者だなんて知らなかった。その建築物の一つでパティスリーを。

カプチーノに絵を描くことをラテアートというらしい。「店にコン
テストで2位になった者がいます」と言う言葉に、カプチーノを所
望する。きめ細やかな舌触りで深い味わいだった。


仲居さんの作る”すき焼き”は、粗目の砂糖を鉄板にまぶし、その
上に肉・野菜・松茸に近江八幡特産の赤いコンニャクを入れる。甘
くて口に溶ける近江牛、シコシコと噛む松茸の香りは鼻に抜ける。


陶芸の森の『北大路魯山人』展へも行く。各窯元の食器のカタログ
には魯山人のコピーが多い。でも魯山人だって乾山を写してる。

”一閑張り日月碗”の漆器碗は、遠目から見ても光りを放っていた。
扁額や絵など全部見終わっても、この碗のインパクトは強かった。

食材だけでなく器もご馳走になると思う私だ。この1週間で、目に
も躰にも栄養がついた気がする。

2009.1115