町の文化祭に合わせて、習っている社中で茶席を催した。皆が一同
に揃うお茶会は連帯感が生まれ、楽しく終えた。
片付けのあと、一回り年上のMさんが「ヴェトナム語って、アジアだ
から日本語と似てる?」とお聞きになった。そんな訳はない。
聞けば、ヴェトナムからホームステイの男性を受け入れるにあたり、
言葉が通じるか不安ということだった。そこで、『イラストと文章
を指せば意味が通じる本』をお貸しした。
次の稽古日、Mさんは丁寧なお礼と共に本を返してくださった。相手
も同じような本を持っていらして、そう不自由しなかったそうだ。
驚いたのは、同じくホームステイを受け入れた稽古仲間のKさん宅で
起こった事だ。Kさんのお母さん(89歳)が突然亡くなられたのだ。
前日の夕飯まで、三日三晩一緒に過ごし話していたという。その
ヴェトナム人の男性は家族同様に嘆き悲しみ、お葬式の準備に加わ
ったそうだ。
お互い貴重な体験でしたねなどと話していると、世界中を飛び回る
と言っても過言でない行動派専業主婦のOさんが加わった。
”彼らはソンラーに住む”と聞き及ぶや、眼を輝かせて「行こう!」
と言い出した。少数派民族がいる、刺繍が有名、ハノイからの列車
も素敵、フランス領時代の建造物も良いと知識豊富に語るのだ。
Mさんも『遊びに来てと言ってたわ』なんていうものだから、私も
つい「行ってみたいなぁ」と言ってしまった。ただ、Oさんのペー
スなら余程の体力が必要だ。海外での登山も厭わない人だから。
この勢いにMさんは怖気づいたけれど、是非一緒に行きたいものだ。
2010.1121