偶然テレビで見た”フェルメールの絵の修復作業”は、とても面白
かった。
『手紙を読む青衣の女』の青も、350年経っても色褪せないラピスラ
ズリの宝石を砕いて描かれているというが、『真珠の耳飾りの少女』
の青より精彩を欠くのは、永年の埃が覆っていたせいだった。
唾液を湿らせた綿棒で拭いていく繊細な作業によって、青は蘇り、
あると思われなかった椅子の側面の鋲まで見え出した。
息を吹き返した絵は、修復後世界初公開で「フェルメールからのラ
ブレター展」と題して京都市美術館で展示されている。
今日は京都で時間もある。しかも私の誕生日なので、乾麺じゃない
パスタで昼食をとった後、残暑厳しい日射しのなか美術館へ向かう。
時間の関係上、フェルメールの絵3点のみを見ることにした。
『手紙を書く女』は、お馴染みの黄色いガウンを着ている。白い真
珠とファーを顔の近くに配して顔を明るく見せるハレーション効果
は、この時代からの”お約束”なのだ!
『手紙を書く女と召使』が一番良かった。ドラマチックで奥行きの
ある絵。召使の”心ここにあらず”の雰囲気。何をしたためている
のか、女主人。床に落ちている文具と壁の絵は何かを示唆するのか。
意味深なフェルメールの絵の謎解きをする本「フェルメール・光の
王国 福岡伸一著」が2週間前から枕元にある。
光が粒子であることを知っていた!? 微分の考えを反映した絵!?
興味はそそられるが、ふんだんに使われている美しい写真を見るだ
けで夢の世界へ誘われ、読書は遅々として進んでいない。
2011.0914