秋晴れの午前。クリーム色の麻のレース地の日傘をさす。
京阪電車『石場』駅から『浜大津』で乗り換え、『東山』で降りる。
運良くMKタクシーが来たので、恭しくドアを開けてもらえた。
清水三年坂の蕎麦処で車を停める。「きものをお召しなので、割引
があります」と運転手は言って、一割ほど値引してくれた。京都で
きものを着ると、地下鉄はタダとか、いろいろと特典があるらしい。
12名の同級生と歓談する。三年ぶりではあまり変化のない近況報告
だが、皆の元気な顔を見られて嬉しい。
食事後は、修学旅行生や観光客で賑わう二年坂・三年坂を歩く。
ポップな柄で明るい色調の、浴衣のようなきものを着る若い女性が
多い。あの柄は流行りだろうか。イノダコーヒでくつろぐと、ガラ
ス越しの庭園で、舞妓に扮した女性が数人、入れ替わり立ち替わり
写真を撮っている。青く高い空に、カラフルな衣裳が目映い。
翌日は、近江八幡日牟禮ヴィレッジへ。松山の友だちが、「ここの
バームクーヘンが好きで、日本橋や福岡で買っていたけれど、一度
も本店に行ったことがない」と言うので、お連れすることにした。
喫茶室で焼きたてバームクーヘンを食べることが出来て、彼女は満
足げだった。辺りを散策してから、其々地方に帰る人たちを近江八
幡駅に送り届け、見知らぬ道を感を頼りに自宅方面へ車を走らせる。
途中、竜王町の道路沿いに、梨園の直売所があった。
一盛りの梨を買うと「オマケにキクラゲを付けるネ。炒めてもナニ
してもオイシイヨ」と農業用帽子を被った女性が異国訛りで言った。
何でキクラゲ?という不思議さを、助手席に乗せて帰る。
2012.1018