京都駅「えき」美術館で、〜平等院養林庵書院・襖絵奉納記念〜
山口晃展を見た。
鉛筆で描かれた『茶室 メカニカル』を見て、「このひと、天才!」
と思った。整然とした露地の美しさ。だが、茶室に戦闘服着た兵士
が伏せっている、あり得ない組み合わせが緻密に描かれている。
『厩圖2004』は、”馬形ロボット”が並ぶ厩の前で、袴姿の若い武
士と、ランニングシャツの現代の若者が、本を見ながら話している。
彼らはいつの時代も、時代を超えてきっと話が合うだろう。
師走のお茶の稽古は、格子柄の普段使いのきものにした。母は、私
が地味な色柄を着るのを嫌がる。「私(78歳)でも、嫌だ」と。
わかってないな。その歳になったら、帯や帯揚げに、フランス菓子
のパッケージのようなベビーピンクやブルーパールを使うんだよん。
白髪になったなら、もっと自在に遊んでも許されるというものだ。
最初の方が初釜に向けて炭手前の稽古をされたので、炭がいこって
部屋に柔らかな温かさが満ちている。
曾祖母のお古を仕立て直したこのきもの地は、紬なのか何なのか、
かねてより知りたかったのだが、稽古仲間の年配の方が触りながら
「お召やね」とおっしゃって、一気に謎は解けた。
ざっと百年を経て、今も易安と着ることが出来るのだから、きもの
ってすごいなと思う。タイムマシンの役割もしているんじゃないか。
ニュースは、地対空誘導弾パトリオット「PAC3」が首都圏に配備さ
れた画面を映している。山口晃の絵は、お伽話のはずなのに・・。
あり得ないコトも、案外身近かに控えているものかもしれない。
2012.1207