金曜・土曜日の数時間だけ開くパン屋さんを知って、出掛けた。
田圃が広がり山へ続く道の真ん中で、GoogleMAPの印は点滅する。
そこでFacebookを開き、パン屋さんの携帯電話番号に掛ける。
「振り向いてください」と言われた方向にある白い家が、目指す店
だった。パネットーネとクッキーなどを求める。短時間だけの販売
が特別感を与えるのも、人気の一つだと思った。
そこから伊賀上野へ向かう。上野の城下町は静かで、昔ながらの商
店街がある。つまり私の好きな専門店が並んでいる。
まず、知り合いが薦める酒屋さんで、白ワインを求める。ご夫婦と
もソムリエだそうで、店内は機内食まである愉しい品揃えだった。
店の二階にあるギャラリーも覗く。川本高史さんがいらして、童絵
の呉須の食器を展示されていた。壁に掛かっていた瓦屋根の切り絵
が気に入ったけれど、注文は数ヶ月待ちとのことだった。
西田はきもの店は、雪駄から草履まで、現代的から古典的まで整然
と並べられている。デパートで買うのが常となった今、このような
昔ながらの店構えも貴重だ。
例え当人がいなくても身長が分かれば、丁度合うように鼻緒を挿げ
ることが出来ると70歳代の店主は自慢する。
店の前は上野天満宮だ。数年前に「御朱印帳を持ってるの」と友だ
ちが言った時、そんな年寄りみたいなことを?と笑ってしまった。
ふと思い出して、社務所に向かう。若い男性の氏子さんに御朱印を
書いてもらう。墨字で大きく書かれた日付けを見て、何年か後に今
日の願い事を思い出すだろうかと思った。
2014.0624