小学生の頃、給食が全部食べられなくて、掃除が始まるまで居残り
をさせられた事が多々あった。量も多いし、苦手は鶏肉の皮だった。
飲み込んでも吐き出してしまうのだから致し方ない。
最初の子を妊娠した頃、野口晴哉の本と出会う。
「食事は、呈された量に合わせるのではなく、躰の声に従って摂る
べきだ」と云う内容が書かれていて、我が意を得たりと思った。
長女が小学校に入学して、私と同じような目にあったらと臨戦態勢
充分でいたが、毎日「給食はとっても美味しい。残すことなんてな
い」と言う。
胃袋は残飯処理場では無い。のちに生まれた男児二人にも、同じ方
針で育てた。にも拘らず、兄弟揃って、出されたものはいつも残さ
ず平らげる。ホテルのバイキングで朝食を食べ過ぎて動けなくなっ
た長女。同じく、ちゃんこ鍋屋の最後の麺で動けなくなった次男。
しかし私は根気良く、言い続ける。
次男が三歳の頃、親戚宅でイチゴが山盛りに出された時、年長の子
らのスピードに負けじと、明らかに食べ過ぎていたので 「心を澄ま
せて聞いてごらん。お腹はどう言ってるの?」
しばらく目をつむってから、「どうなってもイイって…」と答え、
また猛然とイチゴを手にした。これにはもう笑うしかなかった。
10年間の一人暮らしから実家に戻った長男と、盆休みで帰省中の次
男の食欲は旺盛で、料理の作り甲斐はある。だが、お酒も入り楽し
いせいか「食べるのを、どこでやめたらいいのかわからない」と言
う。イチゴのエピソードを披露すると、二人とも苦笑した。
2014.0816