近江では有名な建築家ヴォーリズ。彼の建てた旧水口図書館が、第
二火曜日だけ喫茶店になっている。
窓の向こうに日が落ちて影が伸びる。小学校の校庭内にあるので、
下校する生徒の姿が見えるのは、自分の頃を思い出して懐かしい。
校舎の木製の階段の手すりの感触は、今も皮膚感覚に残っている。
洋館を居心地良く感じるのは、私だけではないようだ。1928年築の
建物を改修し存続するよう動いた人たちと話して、和やかに過ごす。
母は50年以上、毎年家族のために日野菜を漬けている。この時期に、
畑からおこして“しょうず„と呼ぶ湧き水で洗い、2日間陰干しを
してから、酢と味醂で漬ける。
初めて、日野菜洗いを手伝った。幼い頃は危険だからと近づかなか
った“しょうず„の水が温かいので驚いた。湧き水は真冬でも温か
いそうだ。いつからあるのか、今もこんこんと流れ出ている。
流れ作業で、私が日野菜の根の部分を、母が紐を外して葉っぱを洗
って又縛る。二人の分業でも一時間もすれば嫌になった。よくこん
な根気のいる面倒なことを、ひとりで続けてきたものだと感心した。
止まらなくて良いのだなと感慨深いのは、大津インターチェンジだ。
京都方面からの出口料金所へのルートと、入口から名古屋方面に向
かうルートが平面交差のため、一旦停止をしなければいけなかった
が、今年の夏、遂に立体交差になった。51年目にしての工事らしい。
本線に入る300m手前で一旦停止するインターチェンジが、他にもあ
るだろうか。よく利用する私は、胸の閊えが下りたような気持ちだ。
50年100年と言えど、思いのほか把握出来る範疇であるのが面白い。
2014.1118