神戸のポートアイランドから三宮駅へタクシーで移動しているとき、
左手の車窓が急に明るくなったので顔をあげた。

突然ひろがる光の建築物。「神戸ルミナリエって、これ!?」
長女と顔を見合す。思わぬ展開にタクシーを止めてもらって降りた。

視界に入りきらない大きさと、造形の美しさに見とれながら歩いた。
神戸に来る前、会社で転んだ膝の痛みも忘れて・・・。

”今年はLEDじゃなくて白熱電球にした”ことはニュースで知ってい
たが、阪神・淡路大震災の発生を契機に、鎮魂と追悼、街の復興を
祈念して催されていたとは知らなかった。看板で知って静かに驚く。

白熱電球は、柔らかくて暖かい感じがする。長女も頷いて「京都の
家は全部LEDだけど、やっぱりこっちのほうが好きだな」と言った。

秋のノーベル賞受賞がLEDだっただけに、今年白熱電球にするのは
意外な感じがしたが、震災20年目を記念して以前に計画されていた
とのことで納得する。


この震災の朝は、今もありありと覚えている。ガツンと突き上げる
ような初めて体感する大きな地震だった。

長男はすぐに起きて廊下を走り回ったけれど、私は眠っている次男
を起こさないように様子をうかがった。アトピー皮膚炎の痒みで夜
中に何度も起きていたので、少しでもながく眠らせたかった。

幸い何の被害もなく済んだ、雪の降る寒い朝だった。ルミナリエは、
セピア色になりかけた当時を思い出させる懐かしい色で輝いていた。


今年、会社はいろいろな災害に見舞われたが、皆が無事に過ごせた
のは有難いことと、仕事納めを明日に控えてしみじみ思う。

2014.1225