去年から英会話の個人レッスンに通っている。前々から気になって
いた教室だ。たまたま知り合った女性が、G先生の話をしたのがき
っかけだ。思い違いは、米国生まれのG先生は男性だったことだ。

20年前、山に沿った田んぼのあぜ道を、一頭の馬を曳く長靴を履い
た女性と子供が霧の中から現れた。まるで映画の一シーンのように
記憶に残っている。それはG先生の敷地近くだった。

私はネットで下調べをしない。電話で打ち合わせた日時に伺った。

玄関の壺を見て「この形、良いですね!」と褒め、「素敵な珈琲カ
ップですね」と褒めたら「私が作りました」とおっしゃった。

馬はどうしました?と聞くと、10年前に死んだとのことだった。

クッキーが美味しかったので手作りかと聞くと「まつばゆで買いま
した」とおっしゃる。そんな店があったかと数度聞きなおして『マ
ックス・バリュー』と分かる先行き不安な初日だった。

帰って主人に報告すると、「えぇ!?知らなかったの?彼は有名な陶
芸家だよ!」と言った。


先生んちの飼い犬は、私に珈琲とお菓子が出されると、私の膝頭に
片足を乗せて”ねぇねぇ”と強く圧して”ボクにも頂戴”と催促す
るので、最近はレッスン中は外に繋がれている。


英国ではこのように、米国はこうと二通りの文章を教えてくださる
ので、覚える量が2倍に感じる。英国は気取った言い回しで、米国
は何でも略す感じ。参考にとスラングも黒板に書かれる。

「Igot youを、今の人はGotchaと言ってる」とおっしゃるけれど、
妙齢の私が言って良いものなのかどうなのか。

2015.0608