女性ばかりで習っている茶道教室に、ニューフェイスが登場した。

信楽に住む45歳の陶芸作家の男性Yさんだ。「お茶のいただき方と、
簡単な点て方くらいは知っておきたい」とおっしゃって入会された。

陶芸作家さんだけあって、今まで色んな茶人に招かれたらしい。こ
の秋も、横浜で数人の茶人が集う会にYさんの器が使われるそうだ。
今までと視点の違った話を聞くのは、風穴が開いたような気がする。

当番なので茶花を活けた。すすき、花は薄ピンクで実は黄緑色のヤ
マゴボウ、吾亦紅、白の秋明菊、つゆ草の5種。

つゆ草の青は本当にはかない。じきに花びらが萎れしまうのだ。小
さな青色の、あると無いでは格段の差がある。


翌日は、長男のお嫁さんを連れて近所に挨拶回りをする。

思い返せば、私も信楽で義母と廻った。まだ袖を通していない振袖
があったので、今日を最後に着ればよいと言われた。本当は結婚し
たら着ないものだけど。それから記念にと写真館で写真を撮っても
らったっけ。

ゆかりちゃんは白いブラウスに黒いマニッシュパンツ。私はワンピ
ース。終わると即仕事場に向かった。何とも現代的になったものよ。


そのまた翌日は、白内障の手術をした母の退院と私の誕生日。ささ
やかに祝いの夕餉を囲む。

夫がお祝い用のワインを用意してくれた。一口含むと芳醇な香りは、
ビロードの幕がするすると上がって、さらに数枚のシフォンの幕が
次々と左右に開けていくような。まるで今日を境に素晴らしい日々
の幕開けではないかしらと思うほどの心持ちになった、単純な私。

2015.0917