12月に入り、この1週間で心に残ったこと二つ。
まず、京都のサナトリウムにいるお義母さんを見舞った日。
意識は何処に有るか分からないし、視野もおぼろげになっているら
しいけれど、「お母さん」の呼びかけに何かを思い出そうとするお
義母さんの目は、岡潔の説く"情緒"そのものではないかと思った。
無言でも多くを語り合った気がした。長い年月を過ごした想い出の
あれこれ、性格から推し量るお義母さんの気持ち、窓から見える山
々、紅葉。それらが一体となって、何だか大きなもの、励ましだっ
たり慰めだったりをお義母さんは与えてくれた。
岡潔が『情緒』を説くのは非常に難関だがと前置きして、23頁も割
いた中の、星の王子様が箱の穴から想像する羊を情緒と言うならば。
そして人間は三次元的断片を見るのでなく四次元的存在と言うなら
ばである。体感した気がして腑に落ちた。
次は、4年間ほぼ毎月1度通った高槻市のイタリアンレストランが
今月20日で閉店することだ。お店の人に「何で!?」と嘆いた。
今までオーナーシェフだと思っていた男性が出てきて「会社の方針
で飲食部門をやめることになったのです」とおっしゃった。
月に一度のきものを着ての稽古日。きものを着ること自体華やぐし、
ひと月に一度の会食も楽しい。そんな私たちにぴったりのお店だっ
たのになぁ。本当に残念だ。来年からどうしよう。
先生宅に着いて、近くで美味しくてオシャレなお店を紹介してくだ
さいと言ったら「"来来亭"と"横綱"(ラーメン店)と"なか卯"」と
おっしゃって、しばらく返す言葉が見つからなかった。
2015.1208