今年の初釜は京都千本通りの料理屋で行われた。玄関を入ると、通
りからは見当もつかない広い庭があり、中央に配した池で泳ぐ太っ
た鯉
に目が釘付けになった。

白地の長浜縮緬を濃茶に染め直した色無地を仕立て、初めて袖を通
した。先生と生徒9名が揃った中で、私が一番地味なきものだった。

干支の器から話が弾み、朱色の盃に注がれた冷酒を美味しく飲み干
す。先月、今日の濃茶点前役をジャンケンで決めて、私になった。
これしきの事でオタオタしないけれど少しくらい酔っておこうと。

花びら餅を座敷に運び、挨拶をして襖を閉める。
お客様役の皆は庭に出て、にじり口から茶室に入る。

『福寿海無量』の掛け軸を、青文字と白玉椿を活けた床の花、炉縁
などを拝見し終わられた頃を見計らって嶋台を持って入る。炭火で
茶室は温かい。金色、銀色の茶碗に4名分づつ濃茶を練る。

程良い緊張はあったけれど、上手く点てられたようで安心した。


1週間後は甲賀教室の稽古日。当番なので花を探すが、この時季の
花材は乏しい。高橋楽斎の蹲に梅と菜の花を入れた。

先生は「もう咲いていましたか」と驚かれただけだったが、利休忌
より先に菜の花を使っちゃいけないんだよと先輩に注意された。


千代田区にある某国家公務員団体から、抹茶碗と花器の注文が入る。

教室用なので安価な価格帯での所望だ。花器はカタログがあるが問
題は抹茶碗だ。宗陶苑の会長に相談すると沢山用意してくださった

担当の方に十数個の写真を送り、「一つくらいは登り窯で焼いた信
楽焼を」と希望を述べた。今週は茶碗ばかり触ってた感じがする。

2016.0118