京都・丸善本店の絵本コーナーで、長女と絵本の想い出話に興じる。

これは長女の誕生祝いにいただいた本。これは当時福音館書店勤務
の友だちから送ってもらった本、これは長男の時代、これは次男の
保育園時代に出版された本など、背表紙を見ると次々思い出す。

「これもあれも覚えている」と長女は言う。幼稚園の頃、近所に小
さな図書館が出来てひとりで通っていたから、家の本ではないもの
も記憶にあるのだろう。

三人の子育てに本の読み聞かせは不可欠だったけれど、体力の限界
まで遊んでいた長男だけは、表紙を開く頃にはぐっすりと寝ていた。

それでも、大きくなってから「絵本の中で、左と右のどっち?や、
金魚はどこ?の質問に、ボクが間違わした時のお母さんの残念そう
な顔をよく覚えている。」と長男に言われたことがある。

申し訳ないことをしたなと反省した。愉しいはずの絵本のひととき
を勉強みたいにしてしまったのだ。

けれど、『おしいれのぼうけん』は、三人とも顔を並べてページを
めくるのももどかしそうに固唾をのんでいたっけ。独特の濃い色彩
の五味太郎の本はインパクトあるね。『100万回生きたねこ』って
大人向けだと思う。・・・想い出はこのくらいにして。


最新の日本絵本賞・大賞を受けた『30000このすいか』をふたりで
見る。最後のページで「え!?こういう終わり方?」と顔を見合す。
長女は「え?、ワカラナイ」と言う。

いや今なら分かる。自分たちの感想なんかどうだっていいのだ。子
どもとの密接な時間が一番大切なのだってことが。そして、もし絵
本から子どもが何かを感じたなら上出来なのだと思う。

2016.0618