仕事で沖縄に行った。初めての沖縄。那覇空港に着くと南国の匂い
がした。迎えの車に乗り街中を眺めて、日本じゃないなと思ったの
が第一印象だった。
同行のイタリア人女性も沖縄は初めてで、同じことを言ったようだ。
話が続かないのに後部座席の隣に座るとなれば、お互いスマートフ
ォンは良い逃げ場だと思う。
それでもお昼過ぎ、彼女はアメリカ全土の半分強が赤くなった画面
を私に見せて「オー!マイガッ」と天を仰いだのち、信じられない
といった顔を向けた。トランプがアメリカ大統領選挙に勝ったのだ。
この歴史的な一日を沖縄で迎えようとは思いもしなかった。
取引先の社長は私と同年代で、小学生の頃までお小遣いはドルでも
らっていたという。車の通行も、ある夜の12時を境に右から左通行
になったのだから。激動の人生を生きて来られたのだと神妙になる。
一番心に残ったのは、沖縄の奄美大島・徳之島・石垣など大きめの
島だけでなく、小さな島々まで方言が全て違っていて、他の沖縄人
が聞いても意味が分からないという話だ。
独立独歩の国の集まりなのだ。それをひっくるめて沖縄というのは
少々無理があるし、強いては日本国だなんて噴飯物ではないか。
知り合った方のみだが、沖縄の人は懐が深く温かくて情があると思
った。リトマス試験紙に例えると、とても濃い色になる感じ。
お嫁さんをもらう際、相手の実家のある小島へ小舟で挨拶に行った
話を聞きながら、泡盛をグラスに入れてもらい、初めて口にする豚
足を美味しくいただく。異国情緒をしみじみ味わう。
2016.1115