五月の連休は、駅前の陶器市と、陶芸の森の作家市で賑わった。

店頭には信楽焼だけが並ぶわけではないので、「信楽で市と銘打つ
のに他産地商品を販売してよいのか」という意見と、廉価商材が無
ければ売上が伸びないとの反論は、以前から繰り返されてきた話だ。

だが植木鉢と食器は、今やその存在自体が危うい傾向にあると思う。

まず、重い植木鉢はイヤ。植物を植え替える手間が面倒。食器に至
っては、和洋に使えるシンプルな白色が基本で、数も多くを持ちた
くないというご時世だ。需要があるだけマシかもしれない。


裏庭の山椒が初めて実をつけた。ふっくらして美味しそうだ。
太い棘が手に刺さったり、大きく伸びた枝は採りにくい。小一時間、
何度もスーパーで買った方が良かったと思いながら採る。

次にフキを採った。酢水に漬けながら筋を取るが、手と爪がアクで
黒く染まる。美容にこだわる人には不向きな食材だと思う。

母は昔、毎年障子紙を張り替えていたし、妹も嫁ぎ先でよく張り替
える。寝室の障子は通常より小さめだ。私に出来ないわけがない。

ネットで調べて、水を含ませた刷毛で桟の紙を濡らしていく。さら
りと剥がれ落ちるイメージとはまったく違い、糊が強く残っている。
たぶん、むかし私が貼った2枚だと思いだした。

「餅は餅屋」を繰り返しながら、母の助けを借りて剥がすだけで1
時間以上を費やす。だんだん障子のある部屋が無くなっているので
障子紙の生産も種類が減っていくのではないかしら。


生活の営みを細やかにこなしていくのは理想だけれど、すべては生
活を楽しむ余裕があるかどうかにかかっている気がする。

2017.0530