土偶に惹かれるのは私だけじゃないと、新刊『土偶のリアル―発見
・発掘から蒐集・国宝誕生まで』を手にして思う。

2010年に滋賀県相谷熊原遺跡で見つかった土偶は、土偶の歴史を
塗り替えた。なんたって今までに発見された土偶は主に中期~後期
だから、草創期(1万3000年前)のものはとても珍しい。

その土偶は、オッパイとウエストまでの半身。やっぱりなと思う。
身体のなかで美しくて神秘的な造形といえば一番にくるもの。

筆者はこれを「ある一人の人間を思い浮かべながら想いを込めて作
った、とても個人的な土偶」と予想する。

また人面や動物の付いた器の数が極端に少ないのは、日用品と崇め
る対象のどっちつかずだからではないかと解説する。全篇このよう
な感想があり、考古学的な本に比べ親しみが増す。

出土されたおよそ2万点の土偶は全部、顔が上向きという事実が最も
印象深い。うつむく顔が一つも無いのはどうしてだろう。当たり前
のようでいて、考えさせられる事項だ。


次男が社員旅行で東北を回っているとLINEで知らせてきた。青森の
『三内縄文古墳跡』へも行くのか。古墳跡から想像で作られた約15
mの火の見やぐらのようなものが建っているのだ。

次男から「丸太はカナダから取り寄せたらしい」「縄文時代など推
測でしかない」などの超現実的な感想ばかりでがっかりする。

東京ドーム9個分の広さは、大規模な集落の構成だったに違いない。
このくらいの高さがなければ、皆に一斉に合図を送ることが出来な
いよねと力説するも返事がない。瞬時に代われるものなら替りたい。

2017.0620