生地成型の仕事場入口の天井で「ツバメのヒナが孵った」とニシオ
さんが手招きして呼んでくれたのは何日前のことだったか。大きく
開けた小さなくちばしが6つ見えていた。
今日はツバメの子どもたちが次々と飛び立ったらしい。けれど、ニ
シオさんが指さす方を見ると、一羽が地面にとどまっている。
近くの電線で親兄弟と思われるツバメがピーピー鳴きながら見守る
なか、もたもたしてるとカラスに喰われちまうとニシオさんが脅す。
銀行から帰ってくると、ツバメは軽トラックの荷台にいた。
そこまでは飛べたようだ。あいかわらず数羽が上空を旋回している。
次に工場の屋根まで、その次には大屋根まで飛んだそうだ。本州か
ら沖縄、台湾へと島伝いの航海を想像すると心もとないが。
翌日からニシオさんは「ツバメたちは皆、夕方ねぐらに帰ってくる
から」とシャッターを半分開けたまま退社するようになった。
7月1日より高橋由紀子陶展が始まった。
高橋さんの「絵本・にしのあきひろ作『えんとつ町のプペル』を読
んだ感動を作品で表現する、延いてはそれをかまーとの森の50tの
旧燃料タンクのなかで展示させてほしい」を引き受けた。
若い世代の何かヤルぞ!の情熱に協力したいと常々思っていた。そ
れが先達の務めだと。
ところが1週間経ち、ウチも恩恵を受けていると思った。同時開催
の高橋さんの作品展の実力は然ることながら、町内のプペル関連の
イベントからお客様が廻って来られるのだ。
持ちつ持たれつで、信楽の活性化の一駒になれれば幸いである。
2017.0708