親友が亡くなった。突然すぎて、2,3日気持ちが落ち着かない。
妹さんから訃報を受けて夕方に駆け付けた。その時もう死ぬのは怖
くなくなったなと思った。先に向こうにいったんだもの。
1時間以上遺体の傍にいたせいか、通夜ではそう泣くことはなかっ
た。あちらこちらから集まった懐かしい友だちとの再会、先輩後輩
の顔、親戚の方との挨拶。皆が故人の話をするなかに加わった。
けれど日常に戻り、ふとした時に「もういないのだ」と実感すると、
心の寄りどころが無くなった寂しさにうなだれる。父親が死んだ時
より悲しい。
彼女は本当に穏やかで心の広い人だった。仲良くなった小学生の頃
から彼女の不機嫌な顔を見たことがない。多感な少女時代はお互い
様のはずなのに、いつも慰めてくれた。母親より優しかった。
皆も口々に「笑顔しか思い出せない」と言う。やっぱりいい人は早
く亡くなるものか。
それから、ご主人の心配をする。自営業なので仕事と通勤が一緒。
休日もご主人の趣味のバイクでタンデムでのお出掛け。私の知るか
ぎり、"年がら年中ふたりいっしょ"だったから。
気丈に喪主を努めていらしたけれど・・・。夫婦は日常では時々離
れて、おひとり様の練習をするべきなのかと思ってしまう。
脳梗塞は予防の出来ない場合があるらしい。親族が「寝る前に200
cc~500ccの水分を摂ってください」とおっしゃって年を自覚した。
朝に降った雨が止み湿気が高くなった午後、蒸し暑い大気を払うよ
うにヒグラシが一斉に鳴き出した。本葬が始まる時刻を告げている。
2017.0730