気温20℃を超した快晴の昼下がりは最高だ。しかもひとりだし。
家で布団を干してから、片道20kmのドライヴに出掛ける。

目指すは伊賀市の敢國神社だ。夕べ、S社長が大きな字でメモに書
いてくださった。その時は何とも思わなかったのだけれど。

鎮守の森の深く清い香り。空を突く真っ直ぐに伸びる木々を見上げ
る。手水場の湧水の柔らかさ。徐々に身体が清められていくようだ。

お守りを返す箱があった。このタイミング!鞄から2、3年持ち歩い
ているお守りを取り出して返納すると、肩の荷が下りた感じがした。

神殿に向き合い頭を下げ、厳粛な気持ちで佇む。神前で住所と名前
を言うのもひとりだと気兼ね無くて良い。それでも小声で名乗る。

おみくじを引く。大吉。次に、何となく今日は買おうと思っていた
ご朱印帳を探す。伊賀忍者ゆかりの神社仏閣用のご朱印帳『伊賀忍
者回廊』を薦められたけれど「一応、甲賀の生まれなので」と断っ
た。巫女さんはにっこり笑って「そりゃあ、そうですよね」と言う。

梅が満開だ。咲き揃っている。眼の前の春景色にいつまでも浸りた
いが、午後3時すぎには戻らないといけないだろう。


帰宅後、ご朱印帳を袋から出して、初めて知る事柄に驚く。

表紙に『全国一の宮御朱印帳』、「神社には一の宮・二の宮・三の
宮があり、一の宮はある地域の中で最も社格の高い神社のこと」と
書いてある。一瞬、思いがけぬ足枷を手に入れてしまったと思う。

帰りがけに、神社の駐車場で70代後半と20代前半の男性が大阪ナン
バーのクルマから降りられたのを思い出した。あるいは愉しみとし
て、私も孫に「残る社を全部回りたい」などと言い出すのだろうか。

2018.0318