ミホ・ミュージアムで、春季特別展『猿楽と面』ー大和・近江およ
び白山の周辺からーを観る。
義父、昔の先生、麻生副総理、街角でみた人がいた。つまり平安時
代後期から室町、安土桃山時代に亘ってざっと350面が並ぶうちの
翁・男面はリアルだから、見覚えがあっても不思議じゃない。
『能面は左右対称ではない』との文献を読んだことがあるので、一
つ一つ検証してみた。大体において、頬の面積と頬骨の角度が違っ
ている。一方から見ると憂いを帯び、もう一方は晴れやかに感じた。
猿楽は、左右の頬は同じようにみえるが、片方の鼻の穴が大きかっ
たり、口の歪みや口角が違っていた。だから猿楽も能面も、一つの
面がまるで生きているかのように表情が変わって見えるのだ。
女面は種類が少ない。また所謂"能面のよう"で喜怒哀楽が分りにく
い。だから、動きも含めて気持ちを感じ取ろうと努めるし、それを
発見する楽しさが能を見る醍醐味なのだろうと思う。
般若は、上半分を隠して見ると口元を憎しみが。下半分を隠して眼
を見ると哀しみが伝わってくる。舞台なら一層迫りくるだろう。
面は「つける」「被る」と思っていたが、本展示会監修の伊東史朗
さんがモニターで「着る」と解説されている。初めて知った。
滋賀県では、奥永源寺の政所にある八幡神社が室町時代からの面を
多く所蔵しているのも驚きだった。奥永源寺は木地師発祥の地と講
演で聞いたが、やはり関係あるのだろうか。
先月、知人より『政所を終の棲家として』引っ越したと便りがあっ
た。冬場三カ月は雪に閉ざされる。決め手は何かと伺ってみたい。
2018.0428