東京から来るSさんと待ち合わせて、京大病院に入院しているYさ
んを見舞いに行く。私たちは長女が幼稚園の頃からのママ友だ。

数日前にYさんは入院先からLINEで、京都八条口から直通バスが出
ていることを知らせ、またその時刻表を画像で送ってくれた。

誰かと一緒なら何も考えず後を付いていく習性があるSさんと私の
ために、Yさんは配慮してくれたのだと思う。

にも関わらず、もたもたして30分に1本のバスを見送ってしまった。
まだ昼食をとって、ホテルに荷物を預けただけだ。積る話があると
はいえ、今からシッカリしようと決意する。せめて時計は見よう。


翌日は台風も過ぎて晴天になり、吹く風が心地よい。昨日のYさんの
提案通り、まず泉湧寺に行く。大きな鎮守の森と広い境内で清々し
い気持ちになった。天皇家の南北朝時代の菩提が弔ってあるそうだ。

もうすぐ即位の礼があるからか、黒いクルマとマイクロバスが境内
に停まっていて、宮内庁関係らしき人々が集まって話していた。


他の観光客に促されて見上げた、東福寺の天井の龍は圧巻だった。

N.Yに永く住んでいたSさんは、語学力を落とさぬようTVは英語圏
の番組を見るほどだから、寺の案内板も英語版を読む。来年の東京
オリンピックではボランティアで通訳をするそうだ。

「教科書に載っていたでしょ?有名なトイレ」とタクシーの運転手
に教えられた日本最古の東司を、英語で解説してくれた。

東福寺から駅に向かう途中、特別養護老人ホーム『レット・イット
・ビー』の看板が見えた。「よく名付けたもの」と笑いあったのち、
奥深いよねぇと二人してしみじみする。

2019.1008