毎日新聞・『ニッポンへの発言』の中森明夫が、萩尾望都から受け
た2度の衝撃の大きさを書いていた。
最近出版された回顧録『一度きりの大泉の話』と、約半世紀前に出
版された『トーマの心臓』『ポーの一族』の漫画と。
萩尾望都と竹宮恵子が住んだ大泉アパート時代の交友と断絶は、ど
ちらの漫画も読んでなかった私に興味はない。
しかし、中森明夫が衝撃を受けた少女漫画はどのようなものだった
のかは知りたい。上記の漫画を購入し、まず『トーマの心臓』を夜
中に一気に読了した。
少年愛に止まらない、宗教と人間愛ともいうべき壮大なテーマで、
あらゆる年齢層にも訴える内容に驚いた。しかも当時同世代だった
女子は、こんな難しいテーマを読んでいたのかという衝撃を受けた。
私といえば純愛路線で、くらもちふさこのファンだったし、萩尾望
都ら一世代上の絵は旧く感じて敬遠していた。
この歳になっての『トーマの心臓』だ。余韻があとを引いて、まだ
『ポーの一族』に手を出せないでいる。
そこで文学少女だったミドリちゃんにLINEした。
「内容はほとんど覚えていないけれど、学生時代は熱中したわ。竹
宮恵子派と萩尾望都派があり、もちろん萩尾望都派で、山岸涼子と
大島由美子も好きだったよ」の返信。そうか、やはり読んでいたか。
選ぶ本で人は作られるのか、生まれ持った性質で本を選ぶのか。読
む時期が異なるのか。格差があろうと、最大の共通項は趣味の好み
だ。彼女にもウケるであろう漫画『傘寿まり子』を送ることにする。
2021.0528