植木鉢のブランド『PLUS GARDEN・プラスガーデン』を発足して、
今年で25年目になる。
JAZZシリーズとして世に出したカタチを、新カタログで復刻させた
いと思い、カタログの表紙にすると宣言したのは去年暮れだった。
入稿は26日。例にもれず、窯から出てきたのは撮影日当日。「これ
で失敗したならどうするのだ」というセリフも、何度繰り返したか
分らない。とにかく23日の日曜午後、カフェで表紙用の撮影をする。
お客様は一組。薪ストーブの火にあたりながらご覧くださっていた。
1997年、ガーデニングブームの最盛期はテラコッタの植木鉢が主流
だった。当時の40歳代~60歳代の主婦が、自宅の庭に草花を植えた。
そこへ釉薬をかけた陶器を売り出す。焼成温度が高いので素焼鉢よ
り丈夫なのと、汚れが付きにくいのが利点である。また、灯りやホ
ース入れなど鉢に限らない商品を提供するという志で立ち上げた。
今や重い鉢を持つのは嫌だ。草花を植えるのが面倒。雑草を抜く時
間がないから、庭をコンクリートにする人が多くなった。半面、植
物に親しむ若い世代・特に男性が増えている。
プラスガーデンも、『信楽』にこだわった当初から、ずいぶん概念
が変化した。デザインがオリジナルだからと、製造を瀬戸やヴェト
ナムに依頼したこともある。釉薬の限界を感じてペンキを塗った商
品も出した。昨今は燃料費が高騰しているので「焼成しなくていい
のでは?」という意見も出るほどだ。
「NO.1」のカタログを探した折に、当時取材された本を見つけた。
読み返して驚く箇所もあり、今、気持ちを新たにしている。
2022.0128