毎日新聞"日曜くらぶ"で、宇野千代・「生きていく私」の連載が
あったのは1982年。当時の山田詠美は夢中で読んでいたという。

同じ紙面で、山田詠美・「私のことだま漂流記」が連載されている。

普通のサラリーマン家庭に育つ彼女が、作家の片鱗を見せるのは、
小学生でラブレターの代筆を引き受けた事か。差し出した男の子か
ら、後日、靴箱近くで「名前の漢字を間違えるなよ」と言われる。
代筆と知っていたの?胸がキュンとなる初恋。

今の山田詠美の始まりは、大学生時代に福生でアルバイトした頃に
違いない。デビュー作の黒人との恋愛はやたら叩かれるものと知る。

そんな彼女を大先輩の女性作家らが励ます。なかでも宇野千代は彼
女の結婚式に出席する。憧れだった宇野千代がスピーチをする場面
は圧巻だ。横田基地のアメリカ人相手の受け答えなど、実に天晴れ。

直木賞を受賞しても、傷つき辛いことの多い作家生活で、存在を認
め居場所を作ってくれたのは野坂昭如、中上健次、色川武大など、
20代でデビューしたからこそ間に合った綺羅星の作家たちだ。

早く続きが読みたくて、日曜日が待ち遠しい。


先週、京都大学の鎌田浩毅教授がご夫妻でランチに来てくださった。
野口晴哉整体協会の堤先生の勧めで。つまり整体仲間ってことだ。

「ボク、全生に連載してるんだ」とおっしゃったが、協会発行の
『月刊全生』は、野口晴哉の文しか読まないので返答に困る。

家に帰って、鎌田先生の"理学博士の本棚"は二ヶ月ごとの掲載と
知る。そして、月初に届いたばかりの4月号で連載は最終回だった。

遡って、第一回からじっくり拝読しようと思う。

2022.0408