五年ぶりの茶会は、コロナ禍の終息の気配のためか、盛況に終わる

山田さんが採ってきた草花は、道具に劣らない素晴らしさだった。
ツチアケビ白糸草を初めて見る。蕾の笹ユリ、薄紫の小あじさい、
かがり火草、オカトラノオ、下野草。信楽の山は、野草花の宝庫だ。

約80名の来客。茶室で点てるのは八組、主茶碗八碗のみ。あとはす
べて水屋からの点て出しとなる。しかも各二碗飲まれるので、約
150碗ほどを、裏方のコサカさんがひとりで点てる計算だ。

一組にまず十客分を点てる。拝見に出す茶碗を洗い、茶釜に水、炭
の火加減、戻った茶碗を洗い、二碗目の十客分を点てるを繰り返す。

「コサカさんは職人だ。動きに一切の無駄がなく、全ての動作が合
理的だ」と山田さんが言う。皆も、大いにうなづくところだった。


先日ピアノの調律に来たハマナカさんは、仕事を終えてひと息つい
た。そして、店に流れるCDのジャズナンバーのピアノを聴いて、
「スタンウェイかな」と呟いた。さすがその道のプロ、と思った。


ピアノのクニ三上、ベースの池田聡、ドラムスの横山和明のトリオ
で、三年ぶりのジャズライヴを行う。約50名のお客様により満員御
礼となった。手拍子、踊り出す人、楽しい雰囲気で盛り上がった。

グリーンカレー、チーズケーキ、30種の酒とアラカルトを提供した。

終了後に歓談する。なかにバリー・ハリスファンがいらして、長く
バリーに学んだクニさんの話は、渇望の話題だったのではないか。

いいなぁ、ニューヨークのジャズクラブ。「でも、もう聴きたい人
は皆、いなくなったよ」とクニさんは言った。「若い人にも、イイ
のがいっぱいいますよ」と、隣で横山さんは静かにおっしゃった。

2022.0618