七月一日の京都市内の昼は、灼熱の熱気が充満していた。

中元用の蘭の花を、右京区から下京区へ運ぶだけでも弱るので、ハ
イエースに積み込むとき、種苗会社の専務さんは「先にクルマの冷
房を充分に効かせてから」とおっしゃったほどだ。

京都駅前は、半年前とはまた景色が変わっていて、今月中旬にオー
プン予定の400室を擁するホテルがそびえていた。

うどん屋で『気温40℃を超える地点が、全国で6箇所も』のニュース
を見る。いや~、京都も同じくらいだよ!そんな暑さに気が折れそ
うになるけれど、せっかく京都にいるからポンペイ展を観たいなぁ。
あと二日で終わるし、且つ土日は仕事だし。

という流れで、京セラ美術館へ行く。向かいの美術館は、涼し気な
日本画の鏑木清方だ。あちらも入場券売り場に数人並んでいる。


ヴェスヴィオ山の噴火により一晩で埋もれ、約1700年間手つかずだ
った古代都市。18世紀に発掘され、世界遺産になって今年で25年目。

"紀元前79年"がまったくピンとこない。鉄製のフライパンの飾り
を施した取っ手は
、優雅な生活を想像させる。フレスコ画で囲まれ
た庭園が家にある。なんて文化度が高いんだろう。

会場は動画とフラッシュは禁止だが写真は自由で、入場者の多くが
思い思いに撮っていた。私も撮って、グループLINEに送る。

ポンペイは掘りやすい地層だから出土が進んだ。まだ他所には全体
の3/4が埋まっているそうだ。全容が明らかになるのはいつだろう。

『二ヶ月くらいかけて史跡探訪したい』『イタリアに行きたーい』。
と、友だちからの元気な返信が入る。

2022.0708