爽やかな秋晴れだ。今日のお茶の稽古は竹の葉模様のきものを着よ
うと思った。ツルッとした肌ざわりに相応しい陽射しだから。
床は五種の花が活けてあった。なかに見慣れぬ小さなピンク色の蕾
があり、午後三時に咲く『三時草』別名ハゼランと教えてもらう。
茶室で妹と二人になった時、「何で習ってるのかなと、思うことあ
る?」と聞いたら「あるある」と即答した。こんな良い日ならどこ
かに出掛けたり、雨の日ならなおさら家の片づけとかあるよね。
四ヶ伝・相伝の稽古に入ると教本が無いので、各自が点前の手順ノ
ートを作る。たいての方は鉛筆書きで、細かく順を追ってびっしり
と書かれる。鉛筆なのは間違いを訂正できるようにだ。私は、絵と
箇条書きの半々だ。線の濃い方が好みなのでボールペンで書く。
稽古は『大円真』。先生から「一番上のお点前だから、もっとゆっ
くりとした動作で」と注意を受けた。大円真は時間がかかる上に、
膝行・膝退の動作もあり、足がしびれて立てなくなる前に終えたい
気持ちが勝る。けれど本末転倒であるのは明らかだ。
昼休み。宝塚のTさんは二年前にご主人を亡くされて一人暮らしな
のに、「晩ごはん用に豚カツの下準備をしてきたの」とおっしゃっ
たので感心する。省こうと思えばいくらでも省けるのに、きちんと
生活することで自分を律していらっしゃるのだなと思った。
着ていて気掛かりだった『竹の葉・季節』を、ネットで調べる。
「筍狩りを免れた竹はすくすく伸び、夏に養分を蓄え秋に葉を繁ら
せる」とあり、安堵する。だが着るのは今月切りだ。炉開きの頃に
は、生地の艶が見た目にも冷たく感じるだろうから。
2022.1028