京都の通訳の女性が、アメリカ人の中年男性のお二人を連れてご来
店くださった。そのうちのお一人が信楽焼の水鉢とプラスガーデン
の植木鉢と、作家Kの食器を購入されたので、国際スピード郵便
(EMS)で送ることになった。
梱包して計ると、19900円の送料が確定した。一万円弱のお買い上
げ額に対して2倍の送料に納得いかないのはウチの社員だけで、お
客様は了解されて、すでにお帰りになっている。
青色のベースに金色の釉薬が施された中鉢が、特にお気に入りのご
様子で、「62歳くらいのオジサンがアバンギャルドな陶器を作り続
けている。奥深い山の中で」という話も旅の想い出になっただろう。
帰国した頃に届くこれらの品々は、費用の総額相応の値打ちがある
と思う。というか、日本の物価は安すぎるのではないか。
梅雨入りの湿った空気に、オカトラノオの小さな白い花が涼し気だ。
茶道の稽古は、先月に続いて"旅箪笥"をする。柄杓、蓋置と順に
しまう時、水差しと柄杓の間が狭くて蓋置が置きにくい。
それを、先月ヤマダさんが「利休考案とのことだが、利休は大男だ
ったから手も大きかったに違いない。手なりで置くなら順序が逆で
はないか」と疑問を呈した。いや、小さめの水差しで空間があった
のでは、の意見も出て、皆で想像しながら今月は濃茶を点てた。
桐木地の棚は、右手で掛け金を持ち、倹飩蓋は左手を添える程度で
開け閉めする。それは仕覆の紐を持つのと同じように、替えの利か
ない部分にはなるべく触れぬようにするのが肝要で、道具を何年も
美しいまま保つ秘訣なのだと改めて認識する。
2023.0608