太郎坊宮で中健次郎の気功『拝仏功』があると知ったのは、今年知
り合ったキヨさんのフェイスブックだ。彼女の主催で「キャンセル
が出て、あと二名募集」していたので、行くことにした。
秋晴れの朝九時、頂上の宮まで急な傾斜の階段を上って参拝する。
会場に戻ると、偶然にも私の気功の先生の由貴ちゃんがいた。前夜
キヨさんに誘われて、急遽来ることにしたと言う。かねてより知人
の本棚で著書を見かけ、中健次郎の名前だけは知っていたそうだ。
まず二人一組になり、片方が相手の腕をつかむ。つかまれた方は、
"意識をここではない、自宅のソファなどでくつろぐ状態を思い浮
かべると腕は外せる"という実験をした。難しかった。
意識を飛ばしても腕を振り払う時は現実に戻るし、そのタイミング
も分からない。先生は、それが分かっただけでいいとおっしゃった。
先生が一人の男性に腕をつかませ、つかまれた腕をスッと引くと男
性はゆっくり滑るようにその場に伏せた。次々と他の人も同じ様に
倒されていくのを目の当たりにして、「吉本新喜劇みたいやな」と
由貴ちゃんに囁いた。驚いていた由貴ちゃんも、笑って頷いた。
倒れた人たちが微動だにしないのは、動くのがイヤなほど心地良い
状態らしい。「ハイ!」という先生の掛け声で、皆は起き上がった。
それから課題の『拝仏功』を、お昼を挟んでほぼ一日がかりで学ぶ。
優しく美しい、流れるような動きを覚えたいと思った。けれど5.6
時間も同じことを繰り返しているのに、なかなか覚えられない。
たぶん、左右対称でない動作を四方面に振り分けての構成だからだ。
が、一日丸ごと没頭する贅沢な時間の使い方を有難いなと思う。
2023.1028