今週、一番うれしかった出来事は、先月長崎のバーで知り合った方
が訪ねて来てくださったことだ。酔った勢いの「行くよ」はありが
ちだけど、Kさんは違った。京都へ出張のついでに、桃かすてらと
カラスミのお土産を持って、わざわざレンタカーで信楽まで。
店内の写真を撮っていらしたのは、彼女に土産話をするためだろう。
長崎の夜の続きを、主人と3人で話す。また長崎に行きたいなぁ。
去年の夏の終わりに、湖南市のEさんがジンジャーリリーの切り花
をくださった。初めて見る花だった。
それは一気に、熱帯地方特有のじんわりと肌が潤う暑い大気と気だ
るさ、一陣のわずかな風に運ばれてくる甘い香りや、海辺の匂いを
思い出させた。
「気に入ったなら、球根をあげるわ」という約束どおり、たくさん
の球根をクルマに積んで来てくださった。が、あまりに多い。鹿さ
え食べなかったら、店の庭に全部植えたいところだけれど。
お裾分けをしようと、茶道のLINE仲間に、白く華憐な花の写真と、
育て方の参考にAmazonの球根販売ページを載せて「甲賀の方は家へ
信楽の方は会社へ。各自2.3個お持ち帰りください」と送った。
その日のうちに4人が取りに来て、花好きの近所2軒にもあげた。
工場長は袋に入れながら「皆、Amazonの球根の値段を見て高価なも
のと知ったから、もらっておこうと思ったに違いない」と言った。
翌日妹が取りに来て、我が家用には2個残すだけとなった。私も自
宅の庭に植えて、夏の夕暮れに染まる白い花と、香りを想像する。
この花を知る人は、十人中ひとりだった。Tさんは「むかし実家の
庭に咲いていたので、とても懐かしい」と一文を寄せてくれた。
2024.0428