ついに途絶えた。5月号は来ない。2022年から毎月届いた岩波書店
の月刊『図書』は、"もっちゃん"からの贈り物だった。
『図書』の内容は、高尚で難物だ。私には、2023年は近藤ようこの
マンガの連載しか読めなかった。それでも、白内障の手術を題材に
した二ヶ月はタイムリーで、ずいぶん心強く思って読んだものだ。
この冊子を何年も読んでいるとか、私の範疇になかった塚本邦雄が
お薦め作家だなんて、インテリとはもっちゃんのような人だと思う。
あるとき「有名作家がエッセイについて、荷台に複数の荷物を乗せ
ると、荷物の印象が薄まる。一つ、あるいは二つまでが望ましいと
書いていたよ」と、さりげなく私の日記に助言をくださったりした。
出逢いは、約30年前、西順一郎先生の戦略会計の勉強会だった。実
際にお会いしたのは数えられるほどだけれど。10歳上の兄貴分だ。
Facebookで人柄を知った主人は、船橋へ一人で会いに出掛けた。出
会う前の二人が、待ち合わせ時刻まで時間をつぶした喫茶店が同じ
だったことが後で分かる。この偶然は、二人を既知の間柄にさせた。
さらなる偶然は、ある夏の夜、京都で食事をした際、主人ともっち
ゃんは、UNIQLOの同じ赤色の同じ柄のTシャツを着て現れた。
最後に三人で飲んだのは、2022年12月・クリスマスの船橋だった。
昨年の私の誕生日には「いい音楽を聴いて、良い風景を眺め、良き
読書を楽しまれよ。ボク 在宅医療に入ります」のメールがあった。
一ヶ月後、「さらばでござる」と死亡自家広告のハガキが本人名で
届く。斎藤緑雨に倣ったものだろう。半信半疑のまま半年経った。
洒落のめした人生、この表現はいかがですか? お返事待ってます。
2024.0518