土偶に興味を持つ私は、彗星のごとく現れた竹倉史人著『土偶を読
む』
---130年間解かれなかった縄文神話の謎---が気になっていた。

サントリー学芸賞を受賞、養老孟子推薦!とあらば、すごい発見だ
ったのではないかと心躍らせた。ワクワクで読み進む。

土偶の殆どは人型だと思っていたが、実物との類似点をあげ、トチ
ノミや栗、ハマグリといった食用植物の形象であると説く。特に、
「ハマグリは海に落ちている栗である。海は水のある森であり、森
は水のない海なのだ」という一文は、縄文時代を詩的に感じた。

最後に「今や宇宙人説を推す人は皆無」になっているという遮光器
型土偶は、
サトイモが原型という説だった。サトイモの写真が土偶
の手足部分にコラージュしてあっても違和感はなかった。

しかし、これで終わり?と鼻白む気持ちが募る。素人の私でさえ納
得できかねるので、世間の評価はどうなのかとネットで調べてみた。


すると『土偶を読むを読む』縄文ZINE編という本が出版されていて、
『土偶を読む』で目から鱗を落としてしまった人は、もう一度その
落とした鱗を探してもらうことになる、と書いてあるではないか。

そこで、この本を読みだす。とても面白い。土偶のバリエーション
と変遷の表があるし、圧倒的な資料の裏打ちで、考古学の底力が私
を承服させた。結果的に新説は殆ど否定されていた。この本だけ読
めばよかったと後悔する。前出は起爆剤だったのかなとも思う。

17000年間ともいわれる縄文時代は、長くて広い。最初と最後では
別の時代のようだ。最新のIT技術で、土偶だけでない、あらゆる
ことが解明されつつあるのは興味深い。

2024.0818