信楽・陶芸の森にて『躍動するアジア陶磁--町田市立博物館所蔵の
名品から--』と題して、特別展が行われている。
とても興味があったので、学芸員・新井崇之さんの記念講演会「旅
するアジアの文化、その魅力に迫る!」を心待ちにしていた。
中国から日本、それからアジア全般への陶磁器の拡がりと特色を、
縦(歴史)と、横(地図)を巧くまとめての80分間だった。
仲良くしていた親戚のツヨシさん(享年88歳)が大往生を遂げた。
葬儀の日程を見て、主人と手分けして予定を組んだのに、アクシデ
ントが発生して、葬儀後の食事会には私が出席することになった。
ツヨシさんの甥が三人と嫁、ツヨシさんの妻と喪主のテーブルの真
ん中に座る。甥の長男の嫁が「おじさまは、場を明るくするウィッ
トにとんだ素敵な方でしたね。私は堅い家に育ったので、結婚当初、
このような朗らかな家庭があるのだと驚きました」と言った。
それを受けて、「酒を呑んで草津線で帰る時、『甲賀駅』と書いた
プラカードを首に掛け、車掌の近くに座って起してくれるよう頼ん
でいた」と私が言うと、ツヨシさんの妻は「甲賀病院に入院してい
た時、抜け出して甲賀高校の弓道部へ指導に行っていた」と語った。
弓道は生涯を通じて精進していたし、書道は橋の欄干の揮毫を頼ま
れるほどの腕前。ヘラブナ釣りにも精通していた。多才ぶりを交え
て、ふたりで次々とエピソードを披露した。座は華やいだ。
甥たちのビールを呑むピッチが速い。私は絶えず新しいビール瓶を
彼らの前に置いた。遺影のツヨシさんは、にこにこと笑っている。
家に帰ると、皆が「ツヨシさんが、恵子を呼んだんだね」と言った。
2024.1108